ToTTi95Uのメモ帳

数学関係のメモ書き

【数学書は1日1時間】An Introduction to Chaotic Dynamical Systems §1.2 (7日目)

前書き

この記事はRobert L. Devaney著
「An Introduction to Chaotic Dynamical Systems Second Edition」

An Introduction To Chaotic Dynamical Systems, Second Edition (Addison-Wesley Studies in Nonlinearity)

An Introduction To Chaotic Dynamical Systems, Second Edition (Addison-Wesley Studies in Nonlinearity)

を1日1時間ほど読んですぐ、内容を記事に起こしたものである。これ以上詳しいことは1日目の前書きを見るべし。

§1.2の演習問題

 「An Introduction to Chaotic Dynamical Systems Second Edition」には演習問題の答えが付属していません。そのため、ここに載せた答案は間違っている可能性があります。間違い等に気づきましたらお知らせくださると助かります。

1

次の関数が定義域において単射全射か準同型か、微分同相かを判定せよ。

  1. $f(x)=x^{5/3}$
  2. $f(x)=x^{4/3}$
  3. $f(x)=3x+5$
  4. $f(x)=e^x$
  5. $f(x)=1/x$
  6. $f(x)=1/x^2$
解答
  1. $f$は全射かつ単射で連続であり、$(f^{-1}(x))'=x^{3/5}$も連続であるから$C^1$-微分同相である。
  2. $f$は$0$以下の値をとらず、偶関数であるから、どれでもない。
  3. $f$は全射かつ単射で連続であり、$f^{-1}$は明らかに連続で$C^\infty$級であるから$f$は$C^\infty$-微分同相である。
  4. $f$は$0$以下の値をとらないが、単調増加である。よって$f$は単射
  5. $f$は$0$をとらないので全射ではない。しかし、奇関数であり、$x>0$に対して$f(x)$は単調に減少するから単射である。
  6. $f$は$0$以下の値をとらず偶関数であるからどれでもない。

 

2

 次の$\mathbb{R}$の部分集合が開集合か閉集合かそのどちらでもないか断定せよ。

  1. $\mathbb{Z}$

  2. $\mathbb{Q}$

  3. $\{x|x=\frac{1}{n}, n\text{はいくつかの自然数}\}$

  4. $\{x|\sin(\frac{1}{x})=0\}$

  5. $\{x|x\sin(\frac{1}{x})=0\}$

  6. $\{x|\sin(\frac{1}{x})>0\}$

解答
  1. 明らかに閉集合
  2. 任意の有理数$q$と任意の実数$\epsilon>0$に対して区間$(q-\epsilon,q+\epsilon)$の中には必ず無理数が含まれる。よって開集合ではない。また、有理数の数列は$\sqrt{2}$のような無理数に収束することがあるので閉集合でもない。よって、どちらでもない。
  3. 集合が有限であれば明らかに閉集合である。しかし集合が無限ならば、その中にいくらでも小さい元が存在するので、$0$に収束するような数列が存在する。よってどちらでもない。
  4. $0$に収束するような数列が存在するが集合の中に$0$は含まれていないので閉集合ではない。また、明らかに開集合でもない。よってどちらでもない。
  5. $0$が含まれていないのでどちらでもない。
  6. 同じくどちらでもない。

 

3

 $p/2^n$で表される有理数の集合は$\mathbb{R}$で稠密であることを証明せよ。ただし$p,n\in\mathbb{Z}$である。

解答

 誤りが見つかったため明日解きなおします。 解きました

 つぎからの演習問題は隆起函数と呼ばれている関数について考える。定義は次によって与えられる。

$$B(x) = \begin{cases}\exp(-1/x^2)&\text{if }x > 0 \\ 0&\text{if }x \leq 0 \end{cases}$$

4

 $B(x)$の外形を描け

解答

f:id:ToTTi95U:20190721234713p:plain
隆起関数

 

5

 $B'(0)=0$を証明せよ。

解答

$lim_{h\to0^-}{B(h)-B(0)}/{h}=0$は明らかなので$lim_{h\to0^+}{B(h)-B(0)}/{h}=0$を示す。左辺は次のように変形できる。

$$(\text{左辺}) = \lim_{h\to0^+}\frac{B(h)}{h} = \lim_{h\to0^+}\frac{\frac{1}{h}}{\frac{1}{B(h)}}$$ いま、右辺では$h>0$なので$B(h)=\exp(-1/x^2)$である。ここで右辺の分子と分母はともに$h\to0^+$のとき無限大に発散するので、ロピタルの定理を適用できる。

$$(\text{左辺}) = \lim_{h\to0^+}\frac{-\frac{1}{h^2}}{-2\frac{e^{1/x^2}}{h^3}} = \lim_{h\to0^+} \frac{h}{2e^{1/h^2}}$$ ここで右辺の分子は$0$に収束し、分母は無限大に発散するから、全体として$0$に収束する。よって$B'(0)=0$。

 

6

 全ての$n$について$B^{(n)}(0)=0$を帰納的に証明せよ。そして、$B(x)$が$C^{\infty}$級関数であることを結論付けよ。

解答

5で$B^{(1)}=0$は示したので、$B^{(n)}=0$のとき$\lim_{h\to0^+}{B^{(n)}(h)-B^{(n)}(0)}/h=0$を示す。このとき$m\leq n$について$B^{(m)}(0)=0$であるから、

$$\lim_{h\to0^+}\frac{B^{(n)}(h)-B^{(n)}(0)}{h}=\lim_{h\to0^+}\frac{B^{(n)}(h)}{h} = \lim_{h\to0^+} \frac{B^{(n-1)}(h)-B^{(n-1)}(0)}{h^2}=\cdots=\lim_{h\to0^+}\frac{B(h)}{h^n}$$ となる。5と同様の式変形を最後の極限に施せば$B^{(n+1)}(0)=0$を得る。

 

7

 $B(x)$を次を満たすような$C^{\infty}$級関数$C(x)$に修正せよ。

  1. $C(x)=0\ \ \text{if}\ \ x \leq 0$

  2. $C(x)=1\ \ \text{if}\ \ x \geq 1$

  3. $C'(x)>0\ \ \text{if}\ \ 0<x<1$

解答

 $C'(0)=0, C'(1)=0$および3つ目の条件より$0<x<1$において、$C'(x)=ax(1-x)$と推測できる。よって

$$C(x) = \int C'(x)dx = a(\frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{3}x^3)+D$$ である。$C(0)=0$より$D=0$である。また、$C(1)=1$より$a=6.$よって

$$C(x) = \begin{cases}0 &\text{if }x\leq0 \\ x^2(3-2x) &\text{if }0<x<1\\ 1 &\text{if }x \geq 1\end{cases}$$ であり、これが$C^\infty$級なのは明らか。

 誤りであることが分かったため解きなおしました

今日の数学はここまで。続きはまた明日。