(順序集合)「上完備⇔下完備」の証明
はじめに
かなり前にやった証明のメモ書きになります。ここで順序集合は半順序集合*1をことを指します。
上完備、下完備の説明
定義: 順序集合$(S, \leq)$の上界を持つ任意の部分集合$U$が$S$内に上限を持つとき$S$は上完備という。 同様に、下界を持つ部分集合が$S$内に下限を持つとき$S$は下完備といいます。
この上完備と下完備について次の2つは同値です。
- $S$が上完備である。
- $S$が下完備である。
証明
$(1 \Rightarrow 2)$: 下界を持つ任意の部分集合を$U$とする。すると次のような集合$V$を構成することが出来る。 $$ V =\{ x\in S| x\leq y, ^{\forall}y\in U \}$$ ここで$V$は上界を持つため$V$の上限$v$は$S$に含まれる。この$v$は$U$の下限に他ならない。
同様にして$(2 \Rightarrow 1)$も得る。$\Box$
おわりに
上記の事実から順序集合が上完備、もしくは下完備であることをまとめて完備であるといいます。普通は下完備、上完備は区別することなく使うのですが、Wikipediaによると完備"半"束というものの準同型写像を考えるときに区別が必要なようです。気が向いたらそのあたりについても調べてみようと思います。
*1:$a\leq b$ でも$b \leq a$でもない場合がある