ToTTi95Uのメモ帳

数学関係のメモ書き

【数学書は1日1時間】An Introduction to Chaotic Dynamical Systems §1.4 (18日目)

昨日は疲れたため休みました。すいません。

前書き

この記事はRobert L. Devaney著
「An Introduction to Chaotic Dynamical Systems Second Edition」

An Introduction To Chaotic Dynamical Systems, Second Edition (Addison-Wesley Studies in Nonlinearity)

An Introduction To Chaotic Dynamical Systems, Second Edition (Addison-Wesley Studies in Nonlinearity)

を1日1時間ほど読んですぐ、内容を記事に起こしたものである。これ以上詳しいことは1日目の前書きを見るべし。

§1.4の演習問題

 「An Introduction to Chaotic Dynamical Systems Second Edition」には演習問題の答えが付属していません。そのため、ここに載せた答案は間違っている可能性があります。間違い等に気づきましたらお知らせくださると助かります。

2.

次の写像の族に生じる、示されたパラメータ値の分岐点について考えよ*1

$$\begin{aligned} &a. S_\lambda(x)=\lambda\sin x,\ \lambda=1 \\ &b. E_\lambda(x)=\lambda e^x,\ \lambda=1/e \\ &c. E_\lambda(x)=\lambda e^x,\ \lambda=-e \\ &d. Q_c(x)=x^2 + c,\ c=-3/4 \\ &e. F_\mu(x)=\mu x(1-x),\ \mu=1 \\ &f. A_\lambda(x)=\lambda \tan^{-1}x,\ \lambda=1 \\ &g. A_\lambda(x)=\lambda \tan^{-1}x,\ \lambda=-1 \end{aligned}$$

解答

全部の詳細を記すのは大変なのでどのような分岐であるかについてだけ載せます。

a. $S'_\lambda$の固定点の分岐。パラメーターが増えるにつれ固定点の数は$1\to1\to3$と変化する。
b. $E_\lambda$の固定点の分岐。パラメーターが増えるにつれ固定点の数は$2\to1\to0$と変化する。
c. $E_\lambda$の2周期点の分岐。パラメーターが増えるにつれ周期点の数は$3\to1\to1$と変化する。
d. $Q_c$の2周期点の分岐。パラメーターが増えるにつれ周期点の数は$1\to1\to3$と変化する。
e. $F_\mu$の固定点の分岐。パラメーターが増えるにつれ周期点の数は$2\to1\to2$と変化する。
f. $A_\lambda$の固定点の分岐。パラメーターが増えるにつれ周期点の数は$1\to1\to3$と変化する。
g. $A_\lambda$の2周期点の分岐。パラメーターが増えるにつれ周期点の数は$3\to1\to1$と変化する。

 

3.

$f$を微分同相写像とする。$f$のすべての双曲型周期点は孤立していることを示せ。

解答

実数$a<b$を$f^n(a)=a$, $f^n(b)=b$かつ$|(f^n)'(a)|, |(f^n)'(b)|\mathrlap{\,/}{=}1$とする。このとき、平均値の定理からある$c\in[a, b]$が存在し、

$$|f^n(a)-f^n(b)| = |(f^n)'(c)(a-b)|$$ を満たす。$a, b$はどちらも周期点であるから、左辺は$|a-b|$と等しい。即ち、

$$\begin{aligned} |a-b|&=|(f^n)'(c)||a-b| \\ 1&=|(f^n)'(c)| \end{aligned}$$ を満たす。
今、$|a-b|\to0$の極限をとれば、$|(f^n)'(c)|\to|(f^n)'(a)|\mathrlap{\,/}{=}1$である。しかし、これは矛盾。

 

4.

双曲型周期点は孤立している必要はないことを例を通して示せ。

解答

$f(x)=\sin x^{-1}$は$x=0$付近で孤立していない固定点が存在する。

 

5.

他の双曲型固定点の累積点である非双曲型固定点をもつ$C^1$微分同相の例を見つけよ。

解答

問題の意味を汲み取れませんでした。解答を思いつき次第追記します。

 

6.

$-\infty<\alpha<1$における力学系の族$f_\alpha(x)=x^3-\alpha x$について考えよ*2。分岐を引き起こす全てのパラメータ値を見つけ、それらの値で変化する$f_\alpha$の相図を記述せよ。

解答

$f_\alpha(x)$の固定点は$x=0, \pm\sqrt{\alpha+1}$である。よって、

$$\begin{aligned}&a.\hspace{3mm} \alpha < -1\text{のとき、固定点は}1つ \\ &b.\hspace{3mm} \alpha = -1\text{のとき、固定点は}2つ \\ &c.\hspace{3mm} \alpha > -1\text{のとき、固定点は}3つ \end{aligned}$$ 存在する。このことから、$\alpha=-1$が固定点に対する唯一の分岐点であると言える。
 $f_\alpha$は素周期が$2$以上の周期点は持たないと予想していますが、証明は思いついていません。思いつき次第追記します。

f:id:ToTTi95U:20190812223815p:plain
$f_\alpha$の相図

 

7.

線形写像$f_k(x)=kx$について考える。$f_k$の相図が似ているパラメータの開集合が計4つあることを示せ。ただし、$k=0, \pm1$は例外である。

解答

  1. $(0, 1).\hspace{3mm}$符号が変化することなく全ての初期値が$0$に収束する。
  2. $(-1,0).\hspace{3mm}$符号が交互に変化しながら全ての初期値が$0$に収束する。
  3. $(1,\infty).\hspace{3mm}$符号が変化することなく全ての初期値が無限大に発散する。
  4. $(-\infty,-1).\hspace{3mm}$符号が交互に変化しながら全ての初期値が無限大に発散する。

 

今日の数学はここまで。続きはまた明日。

*1:原著ではdiscuss

*2:原著ではdiscuss